よしだたくろうについて
もう45年ほど、よしだたくろうの音楽を聴いている。
1975年のつま恋の時、僕はまだ中二だった。福岡に住む中二の僕にとって、静岡県はあまりに遠かった。つま恋が終わった日の深夜は、よしだたくろうのオールナイトニッポンの日で、たくろうのリアクションにものすごく興味があって、僕はラジオにかじりついて聴いていた。福岡で。わくわくしながら。
ボブ・ディランもローリングストーンズもイメージを変えないまま歳を取ったのに、たくろうはなぜか年を経るごとに音楽が変わり、たくろう自身のイメージも変わっていったように僕は思う。以前、たくろう自身がなにかのメディアで、オピニオンリーダーになろうとしたことがあった、と言っていたが、そういう指向が音楽にも影響したのだろう。
1970年代のたくろうは軽やかだった。
アルバム『ともだち』や『オンステージ第二集』を聴けばその軽やかさがよくわかるし、今では、YOUTUBEで過去のコンサートを録音した音源も聴くことができるが、それらを聴いてみてもやはり当時のたくろうは軽やかであることがわかる。
それは、たくろう自身が若かったということもあると思うが、歳をとるにつれ、なんだか歌詞がだんだんと説教臭く押しつけがましくなっていく。
だから、僕が聴くよしだたくろうの音楽は、エレック時代とソニー時代がほとんどである。つまり、吉田拓郎ではなく、よしだたくろう時代の曲である。
相変わらずベストアルバムみたいなものをリリースしているようだが、そんなものを出すくらいなら、ディランのBOOTLEGシリーズのようなものをリリースしろ!と言いたい。